2012年6月15日金曜日

“考える”についての考え

今回は、本の紹介です。『世界を歩いて考えよう!』というタイトルです。
著者が世界を旅する中で、驚きや感動や違和感などから考えを広げていき、新しい物の見方を提示しています。


外国について書かれた本は、その国の歴史・経済・文化のいずれかの切り口を掘り下げていくものが多いですが、この本は、それら複数のジャンルをつなげながら描いています。ですから、立体的にイメージしやすく、その国を旅しながら感じ、考える感覚がよく伝わってきます。僕も、旅行が好きでたくさんの国を旅しましたが、なるほど、そういうことが起こっていたのかと感心する点が多かったです。旅行が好きな人には、これから旅する際に、ここも注目したら面白いかもという視点を増やしてくれますし、旅行しない人には、教科書に載っていることやニュースで流れていることが、その国では実際にどういう影響として表れているのかを理解する助けになります。


けれど、この本の魅力は、そのように少し距離を置いた所から感心するだけでなく、自分から進んで考えることの面白さを教えてくれる点です。文中には、“自分のアタマで考える”というキーワードが出てきます。自分の頭で考えるのは、もちろん大事なことですが、どこか面倒な気もしちゃいます。それは、そうせざるを得ない状況に陥って、考えさせられているときのイメージと被ってしまうからだと思います。ですが、本の中で出てくる疑問や引っ掛かりに対して、自分もちょっとだけ想像力を働かせて読むと、気づきがあり、今まで自分が見ていた景色が一変する楽しさを体感できます。やっぱり、能動的に考えることと考えさせられることは、行為としては同じですが自分の感じはずいぶん違うものです。自分と異なる文化との出会いは、世界に出なくてもしょっちゅうあります。そこで起こった引っ掛かりを大切にしたら、日常がもう少し面白くなるのかも、などと考えました。


社会派ちきりんの世界を歩いて考えよう!
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という手がかりからさっそく自分のアタマで考えを広げてみると、悩むというのも考える行為の一種ですよね。つらい悩みは、客観的には、その人が勝手に悩んでいるように見えますが、主観としては受動的で、悩ませられていることが多くないですか?自分のコントロールできないところで勝手に湧いてきて、嫌なんだけど考えさせられちゃってる気がします。反対に、晩ごはん、ハンバーグ食べようか?トンカツ食べようか?と考えるのも悩みですが、自分から悩んでいるので苦しくはないです。ですから、本当につらくて、悩みに翻弄されている場合は、むしろ自分から、「よし、これについて悩んでやろう」と主体的に悩む時間を作るのも一つの手かなと思います。おそらく、同じ内容を考えていても自分の体感は違いますよ。

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